小説の感想とか(仮

読んだ本の感想を中心に、日常、映画、漫画、アニメ、ゲーム等々面白かったものに振れます。※ネタバレ注意

法月綸太郎『頼子のために(新装版)』読みました。

 

 

恥ずかしいことに法月綸太郎を読むのは何と初めてである(!)。

本屋に新装版が並んでいたのでこれを機にということで読んでみた。

 

物語は父親の手記から始まる。

大事に育ててきた娘の頼子が、ある日突然公園で死体となって発見された。警察は、早々に最近立て続けに起こっている通り魔による犯行と片づけるが、父親は不審に思い独断で調査を始める。すると娘頼子が実は妊娠していたことが発覚、父親にあたる人物を自力で突き止めて殺して、娘の復讐を果たしたのちに、自らも死を選ぶ。

といった内容。真実の告白にしか見えないこの手記だが、法月綸太郎が調査を開始すると真実は以外な方向へ・・。

 

冒頭の100頁にわたる手記・・うっ頭が・・となった人も是非読んでみてほしい。

いつも記事の最後に載せている謎バロメーターを先に出してしまうと、

お気に入り度★★★★★★★★☆☆ 本当に面白かった。

 

 

面白すぎてネタバレを交えないと話が出来ないので、未読のかたは以下を読まないでください。

 

 

※※※以下ネタバレあり※※※

 

 

 

この話で一番衝撃的なネタバラシはたぶん頼子のお腹の子供についてだと思う。

病室で、綸太郎が指摘して、西村氏は否定したものの、結局どうだったかは誰にもわからない、私は綸太郎の指摘があっていたのではないかなと勝手に思っている。

実はこの前の章の「再調査Ⅱ」を読んでいる段階で、一応自分の考え(ただの予想)を思い浮かべておこうと思って真相を考えてみた。

その時点で思っていたのは「頼子は、自分のせいで、母のお腹の中の子ども(頼子にとっての弟)が死んでしまったことをずっと悔やんでいて、自分が母のかわりになって父と行為に及び自分の体にもう一度死んだ弟を宿そうとした。」というトンデモ発想でした。

もちろんそんな結末ではなかったので私の頭のおかしさを告白しただけのような気がするが、方向としてはそんなに外れていなかったのではないかなと思う。

それで、真相をなんとなく当てた気になって、ああもう終わりか、と残りのページをめくっていたが、399頁の最後の行で衝撃をうけてしまった。

頼子はなぜ道路に飛び出したか。

 

確かに読んでいるときに、十四年前の事故当時、なんで頼子は急にくるっと回って道路に飛び出したのか不自然だなあとは思っていたけれどそのまま通り過ぎてしまっていたので、ハッとさせられた。

(本を持ったまま後ろに倒れこみ目を瞑ってしばらく衝撃を味わう。数十冊に一冊、この時のために本を読んでいる!)

そこ衝撃ポイントじゃないよと思われるかもしれないがここが一番衝撃的だった。

 

面白かったので最後だいぶ気持ち悪い書きぶりになってしまったけれど、かなり満足している。

時間ができたら密閉教室から順番に読んでいこうと思う。

 

改めてお気に入り度★★★★★★★★☆☆