小説の感想とか(仮

読んだ本の感想を中心に、日常、映画、漫画、アニメ、ゲーム等々面白かったものに振れます。※ネタバレ注意

佐藤正午『鳩の撃退法』読みました。

 

 

1100ページ!

ここ最近読んだ中で一番長い長編でした。

しかし長編と思って買ったものが短編でがっかりしたことが多かったので、むしろ歓迎です。

 

 

女を転々とするヒモデリヘルドライバーのもとに、三千万円が突如転がり込む。

早速、一万円を使ってみるとそれが偽札と判明。「本通り裏」の人達が偽札の出処を調査し始める。この三千万のヤバイ金をいったいどう処理しようか。という話。

これが千何ページの上下巻にわたって書かれている。

 

ネット上のレビューをみると、場面が何度もいったり来たりするし、表現がまだるっこしいし、読むのを途中でやめた、というのをよく見る。そこがいいのに!

 

この話、主人公の津田じしん(ひらがな表記)が小説家で、この本(鳩の撃退法)は津田が、全ての出来事が終わったあとに、振り返ってこれまでのことを書いているものである。

彼自身がこの物語の渦中の人物なので、彼が経験したことの順番、またそれぞれの経験が繋がって結びついて、過去に遡って考えて、ああ、あの出来事(津田視点でみたこと)の真相はこういうことだったのかと遡って文字に起こす話、などがあって、こういう構成から、上記のように、まだるっこしいと感じられることもあるのかもしれない。

 

また、津田自身が経験して書いたことは事実だが、(多少捻じ曲げている部分もあるかもしれないが、)例えば、晴山少年と幸地の奥さんとの話とか、最後に幸地秀吉が登場したときの彼の〇〇が無かったことに理由をつける話とか、この辺は彼の想像で書いた部分であって、作中の世界においても正解であるかどうかはわからない。

この作中作中作(?)的な構成が、本当に読み応えがあって楽しかった。

津田がちょくちょく挟んでくるモノ書き論みたいなものも、これ作者(佐藤さんのほう)の意見なのかな?とか思ったりもして面白かった。

 

私は推理小説ばっかり読んでいるので、衝撃の展開!が無いと、大したことなかったと評価してしまいがちなのですが、衝撃の展開の有る無しに関係なく満足感をえられる本でした。

 

強いてゆうならば、ぬまもと定員がすごく好きなのでもっと登場して欲しかった。彼女に対しては津田は例の予感は感じなかったのだろうか。「ぬもとです」「いちどくらいぬもとと呼べ」「よ!」とかなんか好きなキャラでした。

あと一個だけ1000ページの中で一個だけ、読み漏れたのか知らないが、晴山君と一緒に発見された若い女性が誰だか解らなかった。「妹」でいいのかな。

 

お気に入り度★★★★★★★☆☆☆

ブログを一か月放置してしまったのは、3月下旬から、仕事から帰ってお風呂入って何か食べたらもう寝る時間みたいな状態が続いていたから。辛い。そんな中でも1000ページめくったんだからやっぱり面白い。

1か月ぶりだと記事作成も億劫だったけど、なんとか載せられた。推敲はしていない。

次も遅くなりそう。