佐藤正午『永遠の1/2』読みました。
もう何十年も前のデビュー作らしいんですけど、小学館から新装版の文庫が出てたので買いました。
月の満ち欠け(著者の作品を初めて読んだけど面白い!)
→アンダーリポート・身の上話(読んだ時期が悪かったかあまり印象に残らなかった)
→鳩の撃退法(やっぱり面白い!)→永遠の1/2(今回)
ということでたぶん著者5作目の読書です。
自分にそっくりな人物がどうやらこの町にいるようで、その人物の代わりに殴られたり、追いかけられたりする話。
特にものすごい結末が最後に待ち構えているわけではないんだけれど、(それはもう何作か読んだからわかっている)、著者の作品の怒涛の会話劇(?)、独白劇(??)が面白くて堪らない。
ひとつのカギ括弧から始まって全く改行もせずに4ページ以上主人公に喋らせ続けてみたり、今度は喧騒の中での会話をカギ括弧だらけにしてみたり、女の声が全てカタカナ後にしか聴こえなくなったり、今度は急に舞台の台本のような書き方になったり(挙動や仕草の描写を全て括弧の中に任せてみたり)、
もっとあったと思うが、とにかく会話シーンがめちゃくちゃである(いい意味で)。これが流れるようにページを捲らせて、いつの間にか世界に引きずりこまれてしまっている。
鳩の撃退法の次に読んだので、一気に30年前の作品へ飛んだわけだけど、前後に書いた作品かな?と思ったくらい、僕が次もこういうものを読みたい!と思っていたものに合致していました。また時間が出来たら未読作を読んでいきたいと思います。
お気に入り度★★★★★★☆☆☆☆
市川憂人『ブルーローズは眠らない』読みました。
ジェリーフィッシュは凍らない、が良かったので続けて読んでみました。
2000円したけど・・。
両親の虐待から逃れた少年が、青バラを研究する博士のもとで生活することになり、そこで事件が起こる「プロトタイプ」の章
前作から引き続き登場するマリアと漣のコンビが、青バラを研究する博士について調査し、その後で事件が起こる「ブルーローズ」の章
今回も2つの章が交互に展開されます。
前作ではそれぞれの章の位置づけが「過去」と「現在」という感じでわかりやすかったのですが、今回は読み進めないとなかなか時系列がわかりませんでした。
※※※以下ネタバレ
まず最初に、ブルーローズの章で博士が殺される。
そして次に、博士が殺された事件について綴られた過去の日記が示される。
??????
博士は今殺されたばかりなのに、過去の日記では既に博士が死んだことになっている。
ここで2つの章の博士が別人であることに気づくし、おそらくプロトタイプの章が過去の出来事なのだとわかる。
そして最終盤では「エリック」と「アイリス」の衝撃の正体が明かされる・・。
・・。
んー、結論を言うと今回は個人的にはそんなに感動できませんでした。
理由は何点かありますが、
プロトタイプの犯人の動機(青バラを盗むため程度の理由でそんなに何人も殺すか?)が納得できなかったこと。
復習計画のためとはいえエリックがアイリスの首を切り落とすのが理解できなかったこと。
などでしょうか。(あとは即死するほどの毒があるバラなのに注意書きが弱すぎる、とか?)
衝撃的ではあるが感動はしなかった感じです。
今回は好みではありませんでしたが、マリアと漣のやりとりとか、エリックとアイリスのやりとりとか、たまにラノベチックな描写が入ったりして割とそういうところは好きなので次回作を待ちたいと思います。
アイリスの墓の横には、飛行船の模型が置かれたお墓!
きっとこれからもいろいろとストーリーを並べていくつもりなんだろうなーと思って楽しみにしています。
お気に入り度★★★★☆☆☆☆☆☆
今回はちょっとね
市川憂人『ジェリーフィッシュは凍らない』読みました。
第26回鮎川哲也賞。
新型気嚢式浮遊艇ジェリーフィッシュの航行試験のために乗り込んだ男女6人。
空の旅は順調に進んでいたと思われたが次々に乗組員が死んでいき・・。
最終的には6人全員が死んだ状態で発見された。犯人は一体誰なのか。
という、そして誰もいなくなる感じのストーリー。
まず章立てが好き。
実際の浮遊艇の出来事をリアルタイムに描写した「ジェリーフィッシュ」の章
事件の全てが終わった後に、警察が捜査を進めていく「地上」の章
犯人と思われる人物の独白が綴られる「インタールード」の章
これが交互に続く。事件中、事件後、事件前を読者は行ったり来たりする。
なんというか「島」と「本土」を思い出してしまった。
この章立て、いわば読者が最も情報を与えられている立場であるのだが、真相にはなかなか手が届かない。根幹の真相が明かされたとき、最初はそれほど感動しなかったのだが、後から見返してみた時に、あーここのシーンのこの書き方はすごい、こうやって通すのか、という描写が散りばめられていてじわじわと解っていく感覚がよかった。
※※※以下ネタバレかも
さっき、真相にはなかなか手が届かないとは書いたものの、実は犯人については割と簡単に予想がついた。
プロローグで「私自身をこの雪の牢獄から消し去るだけだ」とあって、犯人は中に居て、今は脱出している人物。動機はレベッカの事件で、搭乗者の中で、レベッカと関係ないと思われている人物が犯人の可能性が高い。
死体の1つはバラバラ死体(頭部が無いというネタではなかったが。)になっている。
この死体が恐らく犯人と入れ替わって殺された人物。
インタールードに出てくるサイモンという男が出てくる。
まあこの辺から予想できた。
ただこの話のメインの仕掛けはまあ全然別のところにあったんだけど。
比較対照実験かー。前半部分を読んでいても全然気づかなかった。
犯人の名前が結局明かされないというのも新しい。私はたぶん読んだことが無い。
まあ強いていうなら冒頭の計画書は「どこ用のものなのか」ということくらいかな。
面白かったです。17年の受賞作より個人的にはこっちのほうが好きかも。
お気に入り度★★★★★★★★☆☆
ところで最近、記事の冒頭のあらすじみたいに書いてある部分が面倒くさくなってきて、例えばいきなり「この伏線がなー」とか言い始めてもいいのではという気分に。
かといって精密な考察が披露できるわけでもないので迷っている。布教の方向に行くべきか。自分自身がストーリーをひたすら味わうことに集中すべきか。うーん
辻村深月『かがみの孤城』読みました。
やっと読みました。
2017年で一番面白い!とかどこかで聞いたが、確かに。
クラスメイトとのいざこざがあって不登校になった中学一年生のこころ。
一人で家にいたある日、突然家の鏡が光り出す。触ってみると鏡に吸い込まれ、目を開けると大きな城がそびえ立つ、見たこともない世界に居た。
飛ばされたのは、こころだけではなく、似たような境遇の6人が集められていた。
そこに狼の面を被った少女「オオカミさん」が現れ、城に隠された鍵を探せ、扉を見つけてそこを開いた1人の願いを叶えると言う。期間は来年の3月30日まで。
集められた7人の奇妙な生活が始まる。
私は、冷たい校舎を読んだばっかりだったので、また1人1人消えていくのか?と思ったけど違かった。
個人的には著者2番目くらいに面白かった。
本屋大賞であらためて店頭に並んでいると思うのでぜひ。
※※※以下ネタバレしかしません。
ということで本当に面白かったのだが、不幸だったのが、
読んでる途中に全ての仕掛けに気付いてしまったこと。
大抵鈍感で気づかないのにどうなってしまったんだ・・。
時間軸の謎は、同じ学校に通ってることがわかるシーンで、クラス数とか色々あからさまに書いてあるからわかる。
オオカミさまの正体については、その前の×印に触れたときの描写と、あいた14年間の謎でわかる。
最後の、喜多嶋先生の正体についても、時間軸に気づいた段階で、あ、これこの中の誰かの未来だったらいいなと思って、全員が本名を明かすシーンを見て、名字が変わった云々と言っている人がいたから、ああこの人か、と気づけた。
全部わかってしまったのが本当悔やまれるというか、好きなものを読みすぎると、好きなものが楽しめなくなってしまうジレンマが辛すぎる。
でも今回の仕掛けはすごく好きな部類だったので読んでよかった一冊になりました。
強いて言うならばリオン君のフラグをもっと立てておけば最後がもっと幸せだったかな。
お気に入り度★★★★★★★★☆☆
今日、本をまた10冊ぐらい買い足してきたので積まずに読んでいきたい。
辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』読みました。
春の辻村作品ローラーキャンペーン(仮)。
かがみの孤城を発売日その日に買って1年間放置して読んでなかった。
そのあいだに本屋大賞受賞!とか言ってまた店頭に並び始めた。
興味が無かったとかではなくて、美味しいものは最後に食べようと残していたら機会を失った感じ。そして辻村作品は他の作品のキャラが出てきたりするから、過去作品を読んでからでないと最新作を読めないのでは?と思っていたから。
というわけで過去の有名作品に着手し始めた。
冷たい校舎の時は止まる、は8人の高校生が雪の中、学校に閉じ込められ、学園祭のときに自殺した生徒の名を、忘れてしまった名前を、思い出す話。
時間がたつごとに一人一人が真相に近づきそして消されていく。1000ページ近く読み進めた先には「解答編」が。読者に対して解答用紙が配られます。そうは書いていないものの読者への挑戦状みたいなものである。作者もそうだが、綾辻先生が好きなのでこういうミステリ形式は本当に好きです。
※※※以下ネタバレするかも。
私は、この中の誰かが1人が自殺したのではなくて、この中の1人以外が全員自殺したのかな?と予想していましたが全然違いました。消えていった人は、自分が自殺したことに気付いてマネキン化したのかなと。で一番自殺しそうな深月だけが一人取り残されて絶望し精神世界を形成しました。みたいな。そう読めませんでしたか?駄目か。
一番の衝撃は、菅原と榊について。でもだいぶ後半に出された情報なのでうーんという感じ。まあ榊が菅原だと、ヒロが鷹野になって、ヒロが一緒に歩いてた女の子がみーちゃんということは・・。そして小指につけた赤い指輪。ああ。ああ。ここはすごく良かったです。
あとこれは完全に個人的なことなんだけど、私は自殺描写が駄目だったりする。特に手首がどうとかはもう無理。ここに文字として書くのも躊躇われるくらいだ。というわけであんまり集中して読めなかったのが悲しいところ。
よくそれでバンバン人がしんでいく推理小説読むの好きとか言ってるなと自分でもおかしいけど。
とりあえず上下巻のある、子どもたちは~と名前探しの~は読みたいとは思っている。
かがみの孤城も読む。どれかがスロウハイツを超えるのを楽しみにしている。
スロウハイツはこのブログでお気に入り度を付けたら★9くらいある。
お気に入り度★★★★★☆☆☆☆☆
あわなかっただけです。
映画『ゼロの執行人』観ました。
コナン君ですw
ファミリーが席の中央を陣取るなか、こっそり一番上の一番端っこで観てきました。恥ずかしい・・。まあ定位置なんだけど。
コナン君ももう20何作目らしいです。私は1桁作品目ぐらいまでしかもはや印象に残っていませんが、毎年観には行っています。何だかんだで、今年はいったいどんなトンデモ脱出をするんだろうという興味には勝てない。
やっぱり今回もトンデモ展開だった。いや無理だろw無理無理。
後は蘭姉ちゃんが今どこにいるかで終盤の展開がメタ読みできてしまう。
お前が何をやっても全ては蘭姉ちゃんに収束するんだよと思いながら観てた。
あと安室君はカッコよかった。今回は赤井秀一は出てないのでそこのイチャイチャはありませんでしたが。それは20作品目を見てくれ。「よくこれで公安が務まるな」のとことかの安室君好き。
話の内容についての感想が一言も無いけどまあそんな感じでした。普通に面白かったとは思う。ちなみに次はまたキッドが出るらしいです。
お気に入り度★★★★★☆☆☆☆☆
コナン君にお気に入り度つけてもあんま意味ない気がするけど。
今週読んだマンガ5冊(4月編)
マンガは前回みたいに何冊か読んだら書くことにしました。
1『スロウスタート 1』
アニメやってたので。
普通におもしろい。きらら系って何人かの女の子の日常みたいなのばっかなのに、なんでこう飽きずに読めるんだろう。不思議。
2『new game! 7』
コウちゃんが海外にいったところでもう完結してる感あるけど、まだまだ続く。
この作品はそれぞれのシリアスがあって面白いですよね。
はじめの企画書がついに通って、この後いったいどうなってしまうんだー
3『阿波連さんははかれない 3』
有名になってくると「私は1巻から応援してたから!」と主張したくなるシリーズ。
基本一話完結。この作品、実は阿波連さんよりライドウ君が要で、シュールボケがかなり好みです。阿波連さんも3巻特にかわいかった。
水あさと先生は、絵のファンというかストーリーのファンで特に一般同人誌で繰り出される一発の仕掛けがすごく好きです。RECとかANGLEとか。ミステリ的な面白さを感じる。
4『幸色のワンルーム 4』
有名になってくると「私は1巻から応援してたから!」と主張したくなるシリーズ2。
ドラマ化?するらしい。このネタドラマ化して大丈夫か?w
正直こんなに話が広がっていくとは思わなかった。ここがストーリーの折り返しということで、まだまだ楽しみです。結末を描くのが難しそうなネタだけどもう構想はあるのかな。
5『先輩がうざい後輩の話 1』
ツイッターで回ってくるニヤニヤ系マンガ本当千円出してでも買ってしまうほど好きなんだが異端なのかしら。
年下の先輩ちゃん、とか好きな人はこれも読んでほしい。ラブコメの波動をチャージしておいてほしい。おすすめ。
三白眼のキャラが好きなのかもしれない。旦那が何を(ryとか。