乾くるみ『リピート』読みました。
ある日突然電話がかかってくる。
「何日後の何時に震度いくつの地震があそこで起こります。」
迷惑電話かなと思いつつもその日を迎えると、・・本当に地震が起こる。
電話主は、10か月を遡って意識だけ過去に戻ってきたリピーターだと言う。
偶然電話が繋がったあなたには一緒にリピートする権利をあげましょう、と。
それでもまだ半信半疑であったが、その非現実的な現象の魅力に抗えず、同じく集められた数人の男女とともに時を遡る。
実際に遡ったのだ。
しかし遡った先で、リピーター達が1人また1人と不審な死を遂げていく。
最終盤、最初に電話をかけてきた主催者リピーターから、このリピートの真相が明かされて物語は終わりへ向かう。
まるで人を馬鹿にしたような真相だが、これを呈示されたらどうするだろうか。
怒り狂うだろうか。
感謝するだろうか。
呆れて、もう関わり合いになりたくない、もうほっといてくれ!さようなら!という感じかもしれない。
すんなり返してくれるのかは知らないけれども。
この話は、過去に遡って人生をやり直そうなんて絶対上手くいかないと思わせる話。
絶対オリジナルの人生より不幸になると思う。
なんだろう、この話の中での不幸は、ほとんど取らぬ狸の皮算用で構成されていると思う。
お金はいくらでも設けられるだろうと思って湯水のように使ってしまう。
もっと魅力的な女性と出会うことがわかっていてその人と付き合いたいから、今の彼女と早々に別れてしまおう。
やろうと思えばもう一度リピート出来るから、今回のこの人生も適当でいいや。
頭の中で勝手に幸せを前借りしてしまう。
きっとまともな精神状態でいられなくなってしまうのではないでしょうか。
それにひきかえ、私だったら某数字選択式くじだけ当てておとなしくして絶対上手くやってみせますねハハハ。
とか考えた私もきっと上手くやれないでリピートの餌食になってしまうでしょう。
お気に入り度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
※あくまで個人のお気に入り度です。